『Mittyの音楽室』へお越しいただきありがとうございます。
このブログは、私が物心ついた頃から耳にしてきた洋楽・邦楽のポピュラー音楽について、当時の思い出を交えながらエッセイ仕立てで書いていくものです。

岩崎良美といえばアニメ『タッチ』の主題歌が代表作と世間では言われているが、この大衆のセンス(を甘く見ているマスメディア)はどうにかならないものかと私は常々思っている。

 

7月17日の吉祥寺ライブがハネた後、これまでの4回のライブに必ず来てくれている札幌の高校時代の同級生と2人で、駅近くの居酒屋で祝杯を挙げた(世間的には褒められたことではないかもだが)。

例のウイルスのせいで禁酒法だの時短営業だの言われているが、「協力金」を受け取らない覚悟で酒を提供し、夜8時過ぎても普通に営業している店は実際にはあるものである。そして、そういう店は若者たちで満席となっていた。

そこでかかっていた有線放送が昭和の歌手の、およそその若者たちが知るはずのないような2番手曲、3番手曲ばかりだったのだ。まさに狙ったかのように。例えば、辺見マリが「経験」ではなく「私生活」だったり、和田アキ子が「笑って許して」でも「古い日記」でも「あの鐘を鳴らすのはあなた」でもなく「だってしょうがないじゃない」だったり。きっと有線放送の選曲スタッフが私のような天邪鬼なのだろう。

そして極め付けが岩崎良美の「赤と黒」だった。若者の話し声で時々音がかき消されるような状況の中聞こえてきたその曲は、サビ始まりで、Aメロ、Bメロ、Cメロ、サビと展開していく大曲なのだ。そしてブラスを活かしたバックのアレンジも耳に残りやすい名曲。久々に聞いた。

一緒に飲んでいた友人に私は言った。「ねえ、これ岩崎良美の『赤と黒』だよね、デビュー曲の。こんないい曲だったっけ?」

友人「うん、確かにいい曲だわ」

 

この曲は岩崎宏美の妹である岩崎良美のデビュー曲で、1980年に発表された。作詞は大御所なかにし礼で、作曲が芳野藤丸、編曲が大谷和夫のSHOGUNコンビ。実は当時は知らなかったのだけど。

オリコン最高19位。曲が素晴らしいにも関わらず、あの岩崎宏美の妹であるということばかりが注目されて、彼女の歌唱力やデビュー曲の良さがさほど話題にならなかったのが残念だ。岩崎良美はもっと評価されてもよい歌手ではないだろうか。

https://www.youtube.com/watch?v=ivWm9NnCSmQ

お姉さんの岩崎宏美の「女優」も佳曲ですね。

夜ヒット、いいなあ。ビッグバンドを従えて歌うような華やかな歌番組なんて今は無いから。

☆☆☆

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

佐々木美智代
(ジャズシンガー、草の根音楽評論家)

関連記事

この記事へのコメントはありません。